先日、私はスマホの画面を見ながら、静かに固まっていた。
何を見ていたのかというと、WESTERポイントの残高である。
385,928ポイント。
数字だけ見ると、なかなかの貯金に見える。
しかしこれは現金ではない。ポイントである。しかも期限付きのポイント。
期限は2027年3月31日。
つまり、あと約1年で使い切らなければならないのである。
こういうのを見ると、人は急に哲学的になる。
私はスマホを見ながら、ぼんやり思った。
「人はなぜ、使いきれないほどポイントを貯めてしまうのだろう」
ポイ活というものは、基本的に楽しい。
なぜなら、お金が増えている気がするからだ。
実際にはお金ではなくポイントなのだが、そこはまあ雰囲気である。
数年前、あるインフルエンサーがこう言っていた。
新幹線で使えば
1ポイント=2円以上。
ホテルでもお得。
つまり、普通に使うのはもったいないのである。
私はその言葉を聞いた瞬間、膝を打った。
そして心の中で静かに決意した。
「貯めよう」
こうして私のWESTERポイント人生が始まったのである。
しかし人間というのは、目的を見失いやすい生き物である。
貯めているうちに、だんだん目的が
「お得に使う」から「とにかく貯める」に変わってくるのだ。
気づいたら38万ポイントになっていた。
これはなかなか壮観である。
ゲームで言うと、ラスボス直前の経験値みたいな数字だ。
しかし現実に戻ると、私はそんなに電車に乗らない。
月に数回くらいだろうか。
新幹線に至っては、
「年に数回乗るかもしれない」
くらいの頻度である。
つまり、こういうことになる。
とてもじゃないが使いきれない。
ポイントというのは不思議なもので、
使うときになると急にケチになる。
1ポイント=1円で使える場所はいくらでもある。
しかし私はそれがどうにも許せない。
なぜなら頭の中では
「1P=2円」
という幻が住んでいるからだ。
この幻はなかなか強力である。
たとえばコンビニで
「ポイントで払いますか?」
と聞かれると、私は心の中でこう思う。
いやいやいや。
それはダメだ。
それは敗北である。
ポイントを現金と同じ価値で使うなんて、
なんだか損した気がするのだ。
そこで私はこの悩みを妻に相談した。
「ポイントが38万ある」
すると妻は一言で答えた。
「米を買えば?」
実にシンプルである。
確かにその通りだ。
ポイントは普通に使える。
米だって買える。
だが問題はそこではない。
1P=1円では使いたくない。
この感情である。
我ながら面倒くさい人間だと思う。
しかしこういう葛藤は、
ポイ活をやっている人にはわりと共通しているのではないだろうか。
得をしたい。
しかし損はしたくない。
その結果どうなるかというと、
使えない。
ポイントとは、本来使うためにある。
それなのに、価値を最大化しようとすると逆に使えなくなる。
これはもう哲学と言っていい気がする。
ポイントとは何か。
得とは何か。
人生とは何か。
そこまで考えたところで、私はふと思った。
まあ、最悪の場合は
米を買えばいいのである。
38万ポイントあれば、
かなりの米が買える。
もしかすると私は、
この1年で日本一米をポイントで買う男になるかもしれない。
それはそれで、ちょっと面白い。
人生というのは、だいたいそんなものである。