nimocaからICOCAへ:福岡県民の交通ICカード遍歴とWESTERポイントで関西旅行する話

私は長いことnimocaを使ってきた。
それはもう、特別な理由があるわけでもなく、ただ単に福岡県民だからである。福岡でバスに乗れば西鉄、電車に乗っても西鉄、ちょっと油断するとまた西鉄、という具合なので、nimocaを持つのはほとんど空気を吸うくらい自然なことだった。

しかも昔はポイントが付いた。
電車やバスに乗るだけで、ちょこちょこポイントが貯まるのである。私はこういう「気づいたら貯まっているもの」が好きだ。ポイントというものは、努力して貯めると途端にケチくさい気分になるが、知らないうちに増えていると急に愛おしくなるのである。

ところがコロナの頃だったか、西鉄はポイント付与をやめてしまった。
理由はよく知らないが、とにかく終わった。

その瞬間、私はふと思った。
「あれ、nimocaじゃなくてもよくないか?」

よく考えると、電車やバスに乗るだけならSuicaでもPASMOでもICOCAでもだいたい同じなのである。改札はちゃんと開くし、バスの機械も普通にピッと鳴る。交通ICカードというのは、意外なほど互いに寛容な世界なのだ。

しかも世の中には「チャージでポイントが貯まるカード」というものがある。
交通ではなく、チャージで貯まるのである。なんだかズルい気もするが、ルールの中でズルいことができるのが一番賢いのである。

というわけで、私はコロナの頃にSuicaへ乗り換えた。
当時、iPhoneに対応している交通ICがほぼSuicaしかなかったからだ。
「福岡県民なのにSuica」という、少しだけ背徳的な状態になったが、改札は普通に開くので特に問題はなかった。

むしろ、妙な気分のよさがあった。
なんというか、東京でもないのにSuicaを持っている感じが、少しだけ都会のスパイのようである。もちろんスパイ活動は改札を通ることくらいだが。

しかし世の中は変わる。
今度はICOCAがiPhoneに入るようになったのである。

そこで私は、またあっさり乗り換えた。
理由はシンプルだ。
WESTERポイントが貯まるからである。

ここで一つ問題がある。
私は関西人ではない。
むしろ九州の人間である。

さらに言うと、JR九州ですらない。
JR西日本のポイントを、福岡に住む私がコツコツ貯めているのである。
地理的にかなりねじれている。

しかしポイントというものは、不思議と人間を動かす。
私はそのWESTERポイントを使って、週末に関西方面へ旅行に行くのである。

福岡に住み、JR西日本のポイントを貯め、関西へ遊びに行く。
こう書くと、私は一体どこの人なのかよくわからない。

昔はただ西鉄バスに乗っていただけの人間が、気づけばポイントの流れに導かれて関西へ向かっている。人生とは、わりとこういう小さな仕組みに操られているのかもしれない。

もっとも、そんなことを考えながら改札を通ることはない。
ただiPhoneをピッとするだけである。

そしてまたポイントが少し貯まる。
私はそれを見て、なんとなく得をした気分になる。

冷静に考えると、そのポイントを貯めるために旅行している気もするのだが、そこはあまり深く考えないことにしている。

ポイントの世界というのは、だいたいそういうものなのである。

ICOCAチャージはJ-WESTカード経由お得である。

プレミアムクラスを我慢して、空港で豪遊した話(出張マイルの使い道)

今日は東京出張なのである。しかもマイルで予約した。こういうとき、私は妙に誇らしい。実質タダで空を飛ぶ男、という気分になるのだ。会社の経費で飛ぶくせに、なぜか自分の手柄のように感じてしまうのだから不思議である。

空港のチェックイン機の前で、ふと「プレミアムクラスにアップグレードできます」という表示が出た。追加15,000円。ボタンはやけに素直に光っている。押せばいいだけなのである。

15,000円。

数字にするとたいしたことがないようで、実際にはなかなかの額である。家族5人で回転寿司に行けば、ちょっと本気を出したくらいの金額だ。いや、本気を出したら足りないかもしれない。私はそこで、しばらく機械の前で立ち尽くした。後ろに並ぶ人の気配が、私の優柔不断を静かに責める。

そういえば若い頃、夜行バスで東京に行ったことがあった。三列シートが「贅沢」だと思っていた時代だ。あの頃の私が見たら、プレミアムクラスで悩む今の私はずいぶん偉そうである。人間はすぐ慣れる生き物なのだ。

しかし、15,000円は15,000円である。私は静かに「通常席」のまま進んだ。押さなかった指が、少しだけ震えていた気もする。

そして私はひらめいたのである。

「これは、15,000円得したのと同じではないか」

得したお金は、使ってもいいはずである。理屈としては、どこかの棚に置き忘れた感じがするが、まあいい。

私は空港で、普段なら絶対に頼まない海鮮丼を食べ、ちょっと高いコーヒーを飲み、お土産コーナーで家族に頼まれてもいないお菓子を買った。空港価格という魔法がかかっているから、財布のひもも少し緩む。心なしか、通常席でも背筋が伸びる気がした。

搭乗してみると、前方のカーテンの向こうが少し気になる。あちらがプレミアムクラスなのだろう。だが私は、お腹いっぱいである。たぶんあちらで出るであろう軽食より、さっきの海鮮丼のほうが満足度は高い。そう思うことにした。

節約とは、不思議な言葉だと思う。使わなかったお金を、別の形で使うことを指すのかもしれない。

まあ、いずれにせよ私は今、通常席で満腹なのである。プレミアムかどうかは、胃袋が決めることなのだ。たぶん。

アメックスビジネスゴールド特典とtsugitsugi(ツギツギ)1泊無料券の現実

先日、電子メールの海から「1泊無料券」という、なんとも甘美な響きのデータを取り出した。アメックスビジネスゴールドの特典でもらった、旅行サブスクtsugitsugi(ツギツギ)で使えるやつである。
私は40代の会社員。無料と聞けば、たとえそれが試供品の歯ブラシでも心が躍る年頃なのだ。

せっかくだから家族には内緒で、ひとりで東京のホテルにでも泊まってみようかと思った。家には妻と息子が三人。中学生は常にイヤホンをしており、小学生は常に何かをこぼし、幼稚園児は常に私の膝に乗ろうとする。父は常に座る場所がない。たまには、誰にも乗られないベッドで寝たいのである。

そう思って、1月以上先の東京都で検索してみた。
……3件。
しかも、よく見ると「これは本当に東京か?」と地図を拡大したくなる場所ばかりである。

私は思わず画面を二度見した。スマホの表示がバグっているのかと思い、Wi-Fiを切ってみたり入れてみたりした。だが、3件は3件のままだった。どうやら、これは幻ではなく現実らしい。

旅行サブスクという響きは、どこか「いつでもどこでも泊まれますよ」という顔をしている。だが実際は、人気のパン屋の売れ残りコーナーをのぞいている気分である。あればラッキー、なければそれまで。
これに毎月課金している人は、どれくらいの確率で「おっ」と思える宿に出会っているのだろう。もはや修行に近いのではないかと、他人事ながら心配になる。

とはいえ、無料券である。私は一円も払っていない。文句を言う立場ではないのだ。
むしろ「3件もある」と思うべきなのかもしれない。ゼロではない。人生と同じで、可能性はわずかに残されているのである。

結局その夜、私は自宅の布団で、幼稚園児に蹴られながら寝た。
無料の東京ホテルより、無料のキックのほうが現実味がある。
どうやら私の一泊無料は、まだ先の話らしい。

アメックスビジネスゴールドと300万円使った記憶のない無料宿泊券

ある日、メールボックスにやけに景気の良さそうな件名が届いた。「【ビジネス・フリー・ステイ・ギフト】予約コード(300万円達成分)のご案内」。
一瞬、誰か別の人に届くはずのメールが迷い込んだのかと思ったが、よく見たら私宛だった。どうやら惰性で使い続けているアメックスビジネスゴールドの年間利用金額ボーナスらしい。

300万円。数字だけ見ると、軽くひっくり返りそうになる。そんなに使った記憶はない。というより、思い出したくない。日々の経費やら、ちょっとした支払いが積み重なった結果なのだろうが、「知らぬ間に」という言葉ほど怖いものはないと思う。
同時に「無料で1泊」という言葉が、心の弱い部分を優しく叩いてくる。

気づいたら対象の宿を眺めていた。写真はどこも立派で、部屋は広く、窓の外には海や山がある。こういうところに泊まれば、人生が一段階上に行った気分になれる気がする。実際は一晩寝て帰るだけなのに、不思議なものである。
昔、独身の頃なら「よし行こう」と即決していたと思う。誰と行くかも決めずに、勢いだけで。

しかし今は家族持ちである。ふと冷静になって、条件を読み返す。「ペア宿泊券」。ここで現実に戻る。
夫婦二人で泊まるには子どもの段取りがいるし、かといって誰かを置いて行くほどの罪悪感を乗り越える元気もない。家族全員で泊まれない無料は、だいたい保留になる運命なのだ。

結局、そのメールは既読のまま放置されている。
300万円使った後悔と、使いきれない特典。どちらも私らしいなと思った。
たぶんこのまま、有効期限ギリギリまで悩むのだろう。それもまた、カード社会の正しい使われ方なのだと思うことにした。

WESTERポイント全線フリーきっぷで新幹線乗り放題を考えただけの話(JR西日本・特急・旅行)

朝、スマホをぼんやり見ていたら、「ポイントで新幹線乗り放題」という文字が目に入った。私はこういう言葉に弱い。無料、限定、乗り放題。この三つがそろうと、もう内容をよく読まないまま心が前のめりになるのである。

どうやらJR西日本が、2026年初頭に「WESTERポイント全線フリーきっぷ」なるものを出すらしい。WESTERポイントで買えて、新幹線も特急も2日間乗り放題。しかも智頭急行まで含まれるという。聞けば聞くほど、話がうますぎて少し怖い。

私は昔、青春18きっぷで無理な旅をして、終電のない駅で途方に暮れた経験がある。そのせいで「乗り放題」という言葉を見ると、楽しさと同時に疲労の予感もよみがえる。人は学ばない生き物なのだ。

このきっぷ、山陽新幹線や北陸新幹線まで対象で、指定席も6回使える。新大阪から博多を往復するだけで元が取れると知った瞬間、私の頭の中ではすでに西日本横断の旅が始まっていた。予定も体力もないのに、気持ちだけは忙しい。

冷静に考えると、2日間でどれだけ乗れるかは自分次第である。私は移動中に駅弁を食べ、車窓を眺め、眠くなり、気づけば終点というタイプだ。乗り倒すどころか、列車に乗せてもらっている感覚に近い。

それでも「ポイントが3円の価値になる」と聞くと、急に自分が賢くなった気がするのだから不思議だ。実際は、使わなければゼロなのに。

結局、このきっぷは買うかどうかまだ決めていない。たぶん、また同じ記事を読み、同じように悩むのだろう。人は成長しない。でも、新幹線は速い。それで十分なのだと思う。

https://x.com/showchan82/status/2010550299803431287

ANA今週のトクたびマイル一時休止とマイラーの小さな動揺について

火曜日の正午というのは、私にとって少し特別な時間だった。昼ごはんを食べながらスマホを見て、「今週のトクたびマイル」を確認する。それだけの行為なのに、なぜか宝くじの当選番号を見るような気分になるのだから、我ながら安上がりな楽しみである。

そのトクたびマイルが、2026年3月31日の発表分を最後に一時休止するらしい。理由はANAの国内旅客サービスシステム刷新とのことだ。こういう「システム刷新」という言葉は、たいてい利用者にとってロクなことがない。便利になると言われつつ、慣れたものが消えていく前触れでもある。

そもそもトクたびマイルとは、通常6,000マイルかかる国内線特典航空券が、3,000マイルから取れてしまうという、マイラーにとっては夢のような制度だった。私などは特に遠出の予定がなくても、「安いから」という理由だけで行き先を考えたりしていた。完全に制度に踊らされている。

最近はルールも変わって、発表から搭乗までに少し余裕ができた。前は思いつきで飛べたのに、今は少し計画性が必要である。計画性というのは、私にとってあまり相性の良くない言葉だ。

一時休止と聞いて、再開は夏ごろと言われているが、世の中には「一時」が永遠になる例も多い。過去の国際線の話などを思い出すと、心配しすぎとも言い切れない。マイルというのは貯めるのは大変だが、使えなくなるのは一瞬なのだ。

とはいえ、文句を言っても飛行機は飛ばない。結局私は、次の火曜日もスマホを開き、もう出ないトクたびマイルを無意識に探すのだと思う。習慣というのは、なかなかやっかいなのである。

WESTER超特典きっぷで行く弾丸広島ツアー 2026年1月

仕事終わりに「じゃあ行くか」と言ってしまったのが、そもそもの始まりだった。
WESTERポイント超特典きっぷという、なんだかゲームの必殺技みたいな名前の切符があり、これを使えばえらくお得に新幹線に乗れるらしい。お得と聞くと、私は途端に判断力が鈍るタイプの人間なのである。

そんなわけで、息子と二人、最終の新幹線で博多から広島へ向かった。仕事終わりの新幹線というのは、体は疲れているのに気持ちだけが妙に修学旅行っぽくて落ち着かない。息子は元気で、私は早く座りたい。それだけで、親子というのはバランスが取れているのだと思う。

新幹線の中で、私は昔、自分の父と二人で出かけた記憶を思い出した。あの時の父も、たぶん今の私と同じように、眠いけど楽しそうなフリをしていたのだろう。そう考えると、親というのは代々、無理をしながら旅に出る生き物なのかもしれない。

翌日は朝から宮島へ向かった。
宮島は、何度来ても「おお」と言ってしまう場所である。言葉にすると安っぽくなるが、本当に「おお」なのである。

まずは穴子丼を食べた。ふわっとして、たれがちょうどよくて、これはもう説明する気が失せる味だった。続いて牡蠣。息子は大人みたいな顔で食べていたが、たぶん内心は「ちょっと怖い」と思っていたはずだ。私もそうだった。

帰りには妻へのお土産に穴子弁当を買った。自分たちだけ美味しいものを食べてきたという、ささやかな後ろめたさを詰め込んだ弁当である。

弾丸旅行だったので、正直かなり疲れた。足も腰も文句を言っていた。でも、息子と二人で新幹線に乗って、同じものを食べて、同じ景色を見たという事実だけで、まあいいかと思えてくる。
結局、旅というのは距離よりも、「一緒に疲れたかどうか」なのだと、どうでもいい結論に落ち着いたのであった。

WESTERポイントと切符については「WESTERポイントのお得な貯め方と使い方、交換ルート解説 ポイント特典きっぷやホテル宿泊券がお得」を見てほしい。詳しく説明するのは任せた。

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