このところ、Google Pixel 10aがお得らしい、という話が頭のすみでずっとモゾモゾしている。
一括価格は79,900円(税込)。そこにストアポイント10,000円分がついて、さらにメルマガ会員には5,000円相当の上乗せがあるらしい。つまり、うまく乗れば「実質かなり安い」という、私のような人間がいちばん弱い言い方になっているのである。Google ストアの発売記念施策としては、4月27日までポイント還元や下取り増額が出ているようだ。
こういう「実質」という言葉は、昔から妙に私の心をつかむ。
実質と聞くと、なんだか現実の財布の口がゆるむのだ。だが、よく考えると、実質というのはだいたい、今この場で安いというより、あとからじわっと安かったことにされる仕組みである。私はこの“あとからじわっと”に何度もやられてきた。ポイントをもらった瞬間、なぜか次の買い物をする気になってしまう。あれは買い物ではなく、買い物の呼び水なのだと思う。
しかも今回、話はそこでは終わらない。
下取りでiPhone 13が30,100円くらいになる、という話を聞くと、持っていないのに急に欲しくなる。持っていないものを、下取りのために買うという発想がもう少しおかしいのだが、お得の前では人はわりと平気で遠回りを選ぶ。ゲオモバイルでは中古iPhone 13 128GBがMNPで11,000円からという案内が出ていて、ワイモバイル系でも19,800円前後の線はたしかに見える。だから「安く仕入れて、高く下取ってもらえば勝ちでは」と考え始めるわけである。
しかし、こういう時の私は、だいたい途中で見落としをする。
事務手数料だの、回線契約の条件だの、状態Bだの、バッテリー残量だの、MNPの手間だの、世の中は私のような浅い計算を静かに妨害する部品で満ちている。しかも今回、Google ストア側で高額下取りの例として目立っているのは「iPhone 13」そのものではなく、「iPhone 13 mini」やPixel 8aの30,100円であるらしい。このへんをふわっと読んで「13なら全部そうだろう」と思いこむと、あとでスマホを握りしめて遠い目をすることになる。私はそういう遠い目を、過去に何度もしてきた。
それでも、こういう計算をしている時間は妙に楽しい。
買う前がいちばん楽しい、というのは家電にもお菓子にも共通している。まだ手に入れていないから、欠点が見えないのだ。人間関係みたいで少し嫌である。
結局のところ、Pixel 10aがお得かどうかより、私は「お得を完成させるために別のスマホを買う自分」をどこまで許せるかで悩んでいるのだと思う。
ここまでくると節約なのか遊びなのかよくわからない。たぶん両方で、半分くらいは趣味だ。なので、こういう話の結論はいつも同じである。
安く買うために余計なことを始める人は、だいたいもう負けかけているのだ。
(追記)アドバイスをもらった。ワイモバイルなら10aを2年レンタルで24円+事務手数料3,300円で2年使えるらしい。回線契約までして端末を仕入れるならこっちの方がいいかもしれない。
