福岡銀行・西日本シティ銀行で個人型確定拠出年金(iDeCo)に入ってはいけない2つの理由

われらが福岡の第一地方銀行である福岡銀行や西日本シティ銀行が個人型確定拠出年金(iDeCo)の取り扱いを開始したようです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は税制面のメリットが非常に大きく、将来の老後資産作りにおいては大変有用なシステムです。

ただ、この個人型確定拠出年金(iDeCo)はどこで始めるかも大きな差になります。単純に30年加入する場合には金融機関選びを間違えると数十万円以上の損をすることになるかもしれません。

そういった意味で、2017年3月現在では福岡銀行でiDeCoに入ったら絶対にダメです。

そもそも個人型確定拠出年金(iDeCo)ってなに?

個人型確定拠出年金は個人が利用することできる年金制度です。20歳以上の人は国民年金(または厚生年金)といった公的年金制度に加入しているかと思いますが、それとは別に個人が任意に加入できる年金制度となっています。

2017年からはこれまで加入できなかった企業年金に加入しているサラリーマンや公務員、専業主婦も加入できるよう制度が使いやすくなりました。

個人型確定拠出年金に加入するメリット

メリットはいくつかあります。

1)掛け金が全額所得控除
掛け金はすべて所得控除されます。所得控除というのは所得税や住民税などの税金を計算するうえでの計算元になる所得を減らすことです。
つまり「掛け金×所得税率(住民税率)」分だけ税金が安くなります。

2)運用益も非課税
個人型確定拠出年金の口座で運用される資金はすべて非課税です。

3)年金または一時金として受け取るときも優遇
個人型確定拠出年金では、掛け金を拠出するときに所得控除できますが、年金として受け取るときには所得として扱われます。ただし、受け取るときにも控除が利用できるため、実質的に節税となります。

制度についてより詳しくは上記のサイトなどが役に立つかと思います。
というわけで、制度説明はこれくらいにしてなんで福岡銀行はダメなのかという話をしたいと思います。

ダメな理由1)手数料がくっそ高い

福岡銀行さんも西日本シティ銀行さんも手数料高いです。

個人型確定拠出年金は制度を利用するのに手数料がかかります。この手数料は金融機関によって異なり、総額で月額167円~617円となっています(2017年3月現在)

ということは月に最大450円も差が出るということになります。30歳~60歳まで加入したとすると30年間で162,000円も手数料の差が出るということになります。きっつー。

ちなみに福岡銀行の手数料は599円とワースト2位の手数料です。ちなみに、ワースト1はふくおかフィナンシャルグループと経営統合する予定の十八銀行(長崎)の617円です……。

西日本シティ銀行は福岡銀行よりはマシで487円となっています。

ダメな理由2)商品が悪い

扱っている商品も悪いです。商品が悪いっていうか手数料が高い。

たとえば、福岡銀行の個人型確定拠出年金が扱っている日経平均株価に連動するファンドは「DC・ダイワ・ストックインデックス225(確定拠出年金専用ファンド)」。この手数料は0.5616%です。

一方で、ネット証券の楽天証券が同じように個人型確定拠出年金で扱っている日経平均連動ファンドの「たわらノーロード 日経225」だと同じ手数料が0.2106%になります。半分以下ですね。

※西日本シティ銀行にはこうした日経平均に連動するファンドはありませんが、他のファンドの手数料も福銀さんに近いので割愛します。

この手数料は信託報酬といって、ファンドを運用するためにかかる諸費用と思って下さい。言い換えると、この手数料の差は運用している間ずっと必要になるわけです。
信託報酬については「信託報酬は投資信託保有にかかる管理手数料」で詳しく説明されていますよ。

本当にそんなに差があるの?シミュレーションしよう

でもさ、月何百円とか、年0.35%とかの差がそんなに影響するの?と思うかもしれませんね。というわけでシミュレーションしてみましょう。

毎月2万円の掛け金を30年払い続けるとしましょう。投資のリターンについては少し雑ですが年利3%のプラスとして計算してみます。

楽天証券の個人型確定拠出年金
手数料:167円(月額)
運用リターン:3%(信託報酬として年0.2106%を減額)

福岡銀行の個人型確定拠出年金
手数料:599円(月額)
運用リターン:3%(信託報酬として年0.5616%を減額)

計算方法は省いちゃいますが以下のようになります。ドーン。

楽天証券の年金資産:11,071,324円(53.76%増)
福岡銀行の年金資産:10,280,002円(42.77%増)

金融機関による差の違い:79万1322円

運用自体は同じ仮定なので、金融機関が違うだけで80万円近く差が生まれてしまうわけです。お付き合いがある銀行だからという理由だけで福岡銀行を安易に選ぶのは間違いです。

西日本シティ銀行については福岡銀行と比較して手数料はやや安めといえますが、それでもネット証券の個人型確定拠出年金には及びません。

 

2017年現在だと個人型確定拠出年金だとスペックは圧倒的に楽天証券やSBI証券といったネット証券が強いのでお勧めですが、他の金融機関のサービスとをもっと比較したいという方は「個人型確定拠出年金(iDeCO)のおすすめ証券会社を徹底比較」がおすすめです。

あと、私が福岡市民だからこの2行を取り上げていますが、他の地銀や都銀もゆうちょ銀行もどこも似たような手数料になっています。全体化していえば、ネット証券以外でiDeCoはしないほうがいいって話になってしまいますね。

以上、福岡銀行・西日本シティ銀行で個人型確定拠出年金(iDeCo)に入ってはいけない2つの理由とシミュレーション結果をまとめました。