初めてXのスペースというものをやった。
ボタンを押せばすぐ始まるし、顔も出ないし、気楽なもんだろうと思っていたのだが、実際はそうはいかなかった。思ったよりも私は、しどろもどろだったのである。
今回は対談だった。一対一で誰かと話す、というだけなら、これまでにもそれなりに経験はある。喫茶店でも、電話でも、オンラインでも、相手の顔や声に集中すればいい。しかしスペースには、もう一人、いやもう一団体、聞き手がいる。リスナーという名の、姿の見えない人たちである。
この「見えない」というのが、私にはやっかいだった。
目の前の相手に話しているつもりなのに、同時に「今これ、誰か聞いてるんだよな」という意識が、後頭部あたりに常にへばりついている。まるで、家で独り言を言っていたら、実は窓の外に人がいた、みたいな感じである。落ち着かない。
そういえば昔、授業で音読をさせられたときも似たような感覚があった。先生に向かって読めばいいのに、後ろの席のクラスメイトたちの気配が気になって、急に漢字が読めなくなる。あのときの私は、「急にバカになったのでは」と本気で心配したが、今回もどうやら同じ症状だったらしい。
話しながら、自分でも「あ、今ちょっと変な間が空いたな」とか、「その話、そんなに面白くないぞ」とか、いちいち自分にツッコミを入れてしまう。そのせいで、余計に言葉が遅れる。頭の中が、話す私と反省する私で二分されて、軽く渋滞していた。
終わってから、「うまくしゃべれなかったなぁ」と反省したが、よく考えれば、初めてでうまくいくわけがない。なのに私は、なぜか最初から、そこそこ流暢な自分を想定していたのである。この自己評価の高さと現実のギャップには、毎回驚かされる。
まあ、慣れの問題なのだろう。たぶん何回かやれば、リスナーの存在も空気みたいになるに違いない。そう思うことにした。
次回もたぶん、少しは緊張するだろうが、それも含めて私なのだ、と都合よく納得しておく。どうせまた、しゃべり終わってから反省するのだろうし。
