社長メールスパムとクレジットカード残高不足に挟まれた一日の記録

その日は、どうやら「信用」を試される日だったらしい。
朝、社長からのメールを装ったスパムに遭遇し、私は現代社会の警戒心を一段階引き上げたばかりだった。
最近のスパムは巧妙で、こちらの社会性をピンポイントで突いてくる。
私は少しだけ、自分を誇らしく思っていた。引っかからなかったからだ。

ところがその日の午後、今度は電話が鳴った。
知らない番号。
出ると、あの独特な声である。
「ジュウヨウナオシラセガアリマス」
抑揚のない機械音声。
私は反射的に「はいはい、またね」と思った。今日の私は騙されない。

だが、なぜか胸の奥がざわっとした。
結局、案内に従って番号を押した私は、すでに負けている。

結果から言うと、本物だった。
クレジットカードの引き落としが、残高不足で落ちていなかったのだ。
ジュウヨウナオシラセは、ジュウヨウだったのである。

私はしばらくスマホを見つめた。
朝は疑いすぎて正解、昼は疑いすぎて失敗。
人を信じない態度が、必ずしも賢さにはならないらしい。

考えてみれば、残高不足というのも心当たりはある。
コンビニで「ちょっとしたご褒美」を重ねた結果が、こうして機械音声に告げられただけだ。
スパムよりも、現実のほうがよほど容赦ない。

その日、私は二つの「重要なお知らせ」に出会った。
一つは無視して正解、もう一つは無視しなくて正解。
結局のところ、
信用できるかどうかは、声の滑らかさではなく、残高で決まることもあるのだと、どうでもいい学びを得た。

 

ちなみに、軽く書いているがカードの与信を甘く見ない方がいい。そのあたりは「クレジットヒストリー(クレヒス)の重要性と信用情報」に含蓄のある内容が書かれている。私は説明しない。