ある日、私はコーヒーを飲みながら、なんとなくスマホ料金の明細を眺めていた。眺めていただけで、特に理由はない。理由はないが、そこに「高いな」という感想だけが残った。人間というのは暇だと料金を見直し始める生き物なのである。
そんな流れで、iPhone 17が月281円で使える、という話を目にした。281円。駄菓子の値段である。最初は脳が理解を拒否した。私の知っているiPhoneは、だいたい15万円くらいして、買った瞬間から大事に扱わないといけない高級果物みたいな存在だったからだ。
調べてみると、どうやらNTTドコモのいつでもカエドキプログラムという仕組みと、ahamo、それにMNP割引を組み合わせると、そういう計算になるらしい。2年後に端末を返す前提で、「このくらいの値段で買い取りますよ」と未来の価値を先に約束してくれる仕組みだ。なんだか、人質交換のようで少し緊張する。
私は昔、分割払いがどうも苦手だった。一括で払って「もう終わった」と思いたい性格なのだ。だが今回ばかりは、281円という数字がしつこく頭に残った。毎月の通信費を入れても3,000円ちょっと。これはもう節約というより、実験である。
しかも、AppleのApple Storeで買うより安い、という事実が追い打ちをかける。正規ルートより安い正規品。私はだんだん「買わない理由」を探すほうが面倒になってきた。
もちろん、2年後には返却しなければならない。傷をつけず、水にも落とさず、大事に使う必要がある。つまり私は、2年間ずっとスマホに気を使う人生を選ぶことになる。それが幸せかどうかは分からない。
でもまあ、月281円で最新のiPhoneを触りながら、「ああ、私は今、得している気がする」と思えるなら、それでいいのだと思う。気がする、というのが重要なのである。
